不動産の相続登記(名義変更)には期限はあるのでしょうか?

相続登記の手続きを放置しておくと問題が生じて手続に余計な手間がかかる可能性がありますので、注意が必要です。

相続登記(不動産の名義変更)には厳密な期限はあるの?

親が亡くなり、自宅を自分が相続することになったけれど、何年も名義変更をせず、親の名義のままになっていた。

今から登記することはできるのか?などと、不安に思う方もいらっしゃると思います。

結論から言いますと、相続登記には法律上期限はなく、いつまでに終わらせなければならないということはありません。何年経っていても、書類が整えば相続登記は可能です。

しかし、期限がないからと言って、そのまま放置したり、相続登記自体をしないでおくと様々なデメリットが発生する場合がありますので注意が必要です。

相続登記を放置してしまった際に発生する問題やデメリット

相続関係の複雑化

不動産の名義人が亡くなった瞬間から、名義人を書き換えるまでは、事実上その不動産は相続人全員で共有している状態になります。

もし、その相続人のうち、どなたかが亡くなった場合、権利は更に亡くなった方の相続人に移りますので、登記をしていない期間が長いほど、相続人が増えて複雑化し、相続人全員からの同意を得るのが大変になっていくこともあります。

認知症等の影響

相続人のうちの誰かが認知症になるとその人は遺産分割協議に参加出来なくなってしまいます。

そこで、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらい、成年後見人に遺産分割協議をしてもらうのですが、他の相続人の同意を得て、必要書類と実印をもらい、登記申請をして、、、と考えると、時間もかなりかかってしまいます。場合によってはスムーズに相続登記が出来なくなることもあるでしょう。

相続人の誰かがいつ認知症になってしまうか先読みすることはできませんので、相続登記を早めに済ませることが大切です。

行方不明者がいる場合

相続人の中に行方不明の方がいる場合、そのままでは登記をすることができません。

行方不明の方がいる場合でも、本籍地や住所地を調べたりして、可能な限り連絡を取ることが義務付けられています。

そのまま見つからなければ、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい、さらに許可を得るという手順を踏む必要がありますので、遺産分割協議登記の手続き自体をはじめるまでに相当時間がかかってしまうでしょう。

相続登記の方法

亡くなられた方や相続人の必要書類(戸籍等一式や遺産分割協議書、固定資産税評価証明書など)と申請書及び登録免許税分の印紙を持って管轄の法務局へ行きます。(オンラインでパソコンから申請することもできます)

また、登記をするケースによって必要な書類が変わる場合もあります。

相続を原因とする場合、登録免許税の費用は「固定資産税評価額×0.4%」となっています。

これは、生前に贈与する場合や売買による費用よりも安く設定されています。

まとめ

登記をせずに後回しにしておくと場合によっては様々なデメリットが発生したり、時間と費用がかかってしまう場合があります。

大切な人がお亡くなりになると、手続きに慣れていらっしゃらない場合、何をどのように進めれば良いのか分からなくなってしまうこともあると思います。

ご自分で調べて相続について考えるより、お近くの専門家にご相談になった方が余計な手間や時間、支出を避けられることも多々あります。

気持ちが落ち着いたら、不動産の名義をそのままにしてデメリットが発生する前に、相続登記はできるだけ早めに済ませましょう。